文政期、江戸の芝居小屋で起きた怪異を、鳥屋の藤九郎(ふじくろう)と元人気女形の魚之助(ととのすけ)が解き明かす『化け者心中』で、一躍脚光を浴びた蝉谷めぐ実さん。ファン待望の新刊『おんなの女房』では、一級の芸道小説でもあったデビュー作同様、芸を極めようとする者とそれを支える者の葛藤を、主に一組の夫婦を軸に描いていく。〈女より美しい“女形”〉と評される喜多村燕弥(えんや)と、歌舞伎を知らないまま燕弥に嫁いだ武家の娘・志乃。 続きを読む ≫