友達も知り合いもほとんどいない東京で子育てに奮闘する元ヤンキーのアッコさん。

 愛する娘のためにも、 #ママ友 の前では笑顔を絶やさぬ「いい人」であろうと努力している彼女ですが、あることがきっかけで、グループのリーダー格のママにブチ切れてしまいます。人気連載「元ヤン子育て日記@TOKYO」の5回目は、ママ友の間に存在するややこしい上下関係とマウンティングについて――。

 去年の冬のことだ。子育て教室で一緒になったママ友に「クリスマスパーティーの計画を一緒に立てよう」と誘われた。

 すごくビックリした。 そのママ友はリーダー的な存在。なんでもキャリアウーマンで、町で評判のタワーマンションに住んでいるらしい。

 えっ、こんな私でいいんですか? なんだか、偉い人から認められたような気がして、うれしさがこみ上げてきたけど、緊張で心臓がバクバクし始めた。

 なにせ、私は順序立てて計画を立てるのが苦手だし、友達が少ないからパーティーもしたことがない(つーか、ホームパーティーなんて本当にあるんだ!!)。 おまけに学がないから、LINEでやりとりするときの言葉遣いにも不安がある。

 ただ、これは、先輩ママと仲良くなる千載一遇のチャンス!! 私は勇気を振り絞ってクリパ計画に参加することにした。

 迎えた打ち合わせ当日。 あ〜緊張する。 何を着ていけばいいのかな? やっぱり知的に見えるタートルネックかな? タトゥーが見えない服を選んだけど、念のためテーピングテープも貼っちゃおう。

 手土産もお洒落(しゃれ)なケーキ屋さんで買って、準備はバッチリ。いざ、憧れのタワマンへ!

 ドンッとそびえ立つマンションへ入る時には、「ここに用があって来たのよ!」と住人でもないのにちょっと優越感を感じた。

 「幼児教育が子どもの将来に関わる」「本の読み聞かせはできるだけ多く」などなど、為(ため)になるお話をたくさん聞き――こっちの話は一切聞いてくれなかったけどね――いよいよクリパの全容が明らかに!

 「会費6000円、プレゼント2000円」

 !! 高くない? 家で集まってクリスマスパーティーするだけでは……? いや、東京のパーティーはこんなもんなんか……?

 頭がパニック状態になった私のことなんてお構いなしに、一方的に計画を語り続けるママ友。もはやこうなると、一緒に計画を立てているというより、上官の命令を聞いている兵士の心境。「はぁ」「なるほど」しか言えない自分が情けないと思った。

 事件は打ち合わせの終盤で起きた。

 ママ友「じゃあ、私は出前のお寿司(すし)を頼むから、ケーキ係をお願いできる?」 私  「宅配のケーキですか?」 ママ友「あれは解凍が大変だし、買いに行くのがおススメだよ」

 えっ? ギクッとした。てか、さっき、クリパは朝10時からって言ってなかったっけ? それに間に合うように、私がケーキを? しかも……。

 ママ友「高島屋のケーキが食べたいなぁ〜。予約しとけば大丈夫よ」

 えっ!! しかもデパートかよっ! つーか、朝10時前に店、開いてんのか?

 1歳の子を連れて、早朝にケーキを買いに行くのは結構、大変。朝の掃除や洗濯、食器洗いを後回しにしたとしても、子どもと夫に朝ごはんを作り、自分の支度と子どもの着替え。そこからデパートに行って、ケーキを受け取り、タワマンへ……。もし、雨が降っていたら最悪だよな……。

 少なくとも遅刻は決定的。でも、ケーキはクリパの最後に出てくるわけだから、別に私たちが遅れても問題ないってことなのかも。

 これ……知ってる。完全に「パシリ」です。 クリパの他の食事は全部、出前。でもケーキはおいしいものを手に入れるべく、評判のお店に買いに行かなければならないらしい。しかも!当日に。これ、一番面倒な作業じゃん。

 「若くてヘコヘコしてる奴(やつ)なら、買いに行くだろう」 そんな本音が垣間見え、途端にやる気がなくなった。

 過去を知られまいと思って、真面目に見える服を選び、ママ友の自慢話をヘラヘラ聞いていた私。実は、完全にナメられていたのね……。

 ケンカになるのもなんだし、とりあえずその場は「分かりました」と元気よく返事をした。だけどもちろん、「ナメられた」まま引き下がることなんでできない。

 ささやかな反撃は少し日にちがたった後に、食らわしてやった。一方的に「クリパに参加できなくなりました」とLINEを送信。

 当然、ケーキの予約はしていない。そこまでして、パーティーをやりたいならご勝手に。これで、ちょっとスッキリした。パーティーにお金と時間を費やすくらいなら、まだ娘に絵本を買って読んであげた方がいい。

 ちなみに、そのママ友からは、クリパ直前になって「日程をずらすから参加しない?」と連絡があった。「絶対にパシリはやらんぞ」と決心している私は、丁寧な言葉を選び、また不参加のLINEを送った。

 そういえば、去年の冬、「忘年会スルー」って言葉が話題になったっけ? 仕事か仕事じゃないかで議論できればまだ楽だけど、ママ友とのパーティーはそうじゃないから、逆に面倒だったりする。

 【次回更新は4月2日(木)の予定です】

 筆者(アッコさん)プロフィル 1993年生まれの26歳。中部地方出身。中学時代は「学校がつまらない」と授業をサボり、成績はオール1。その後、私立の専修学校に進学するも不真面目な素行に加え、成績もふるわず、ヤンキーへの道一直線。卒業後、一度は医療事務の仕事に就いたが、遊びたい気持ちを抑えられず退職。職を転々としていたところ、会社勤めをする夫と出会う。都内で夫と1歳の長女と3人暮らし。